男性の性器ヘルペスの原因と症状、再発予防法を医師が解説します。
性感染症はほかの病気と変わらず、医師の診察を受けるべき症状です。
患部が性器であるため、恥ずかしいと思いがちですが、放置すると悪くなるばかり。
恥ずかしがらずに早期に治療を開始すれば治る病です。
目次
性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)の感染により起こります。
正式名称は「性器ヘルペスウイルス感染症(genital herpes simplex virus infection)」です。
一度感染すると、HSVが知覚神経を通って体内を移動して、腰仙髄神経節に部分に潜伏。
症状は改善されても潜伏したHSVは、疲労や免疫が低下した際に再発します。
一度感染したHSVは体内から外に出すことは、現代の医学ではできません。
しかし、再発を抑えることは可能です。
性器ヘルペスには、皮膚、尿道、全身に症状が現れます。
ここでは、それぞれの部位の症状について解説します。
皮膚にはどんな症状が出るのでしょう。
▼性器ヘルペスの皮膚に出る症状
・ブツブツとした赤いできもの
・痛みやヒリヒリ感
・かゆみを伴うただれや水ぶくれ
症状が出る部位は、ペニス、陰嚢(睾丸)、肛門周囲、お尻、太ももです。
性器だけが感染源ではないため、異常がある場合はセックスをしないようにしましょう。
尿道に出る症状は、排尿時のものです。
これは性感染症のほぼすべてに通じる症状といえます。
感染症によって治療法が違ってくるので、自己診断をしないようにしましょう。
▼性器ヘルペスの尿道に出る症状
・排尿時に痛み
・尿道から分泌物が出る
排尿時に異常を感じる場合はなんらかの病気が疑われるので、医師に診察してもらいましょう。
前駆症状とは、病気の初期症状のことを指します。
ここで医師の診察を受ければ、早めの治癒が可能です。
▼性器ヘルペスの前駆症状
・性器及びその周囲のかゆみ
・下半身の重だるさや不快感
性器にただれや水ぶくれが出る前の前駆症状としては、以上のようなものがあります。
性器ヘルペスにかかった場合、全身などほかにも出る症状があります。
▼性器ヘルペスの全身などに出る症状
・全身の重さやだるさ
・足のつけねのリンパ節の腫れ
・神経痛
初めて性器ヘルペスにかかった場合は、高熱が出る場合があります。
再発の場合は、発熱しないことの方が多めです。
性器ヘルペスの感染原因は「HSV-2」を保有している人とのセックスによるものです。
分泌液や精液、唾液によってウイルスが排出され、皮膚や粘膜にできた小さな傷から感染します。
皮膚に異常がでるまで進行している場合は、ウイルスの量が多いため感染確率が高まるでしょう。
性器ヘルペスの潜伏期間は、感染日より2~10日です。
感染しても症状がしばらくでない、軽い違和感のみで済むこともあります。
とくに再発の場合は、初期症状が軽くわかりづらいため感染させやすいともいえるでしょう。
一度でもかかった人は、症状を見逃さないようにすることが必要。
大切なパートナーに感染させないように予防策を徹底させましょう。
性器ヘルペスは再発します。
健康な人の場合、性器ヘルペスを治療しなくても2~3週間で症状が改善されることがほとんどです。
ただ、一度感染するとウイルスが知覚神経節に潜伏しているため、免疫力が落ちた際に症状を再び見せます。
多い人の場合は年に10回以上再発を繰り返すこともあります。
健康な状態を守っていくことと、専門医による正しい診断により抑え込むことが可能。
再発抑制療法もあるので、恐がるよりまず診断を受けることが大切です。
性器ヘルペスを放置すると、強い痛みを伴う場合があります。
性器の外側表面に水ぶくれや炎症を起こします。
一度でも性器ヘルペスにかかると、体力の低下や免疫力が落ちた際に再発するので、症状が出ていないからと放置しないようにしましょう。
性器ヘルペスが疑われる際には、2通りの検査方法により診断をします。
症状がある場合と出ていない時により、検査方法は使い分けられています。
性器ヘルペスによるものと思われる皮膚の症状があるときに行われるのが皮膚拭い検査です。
綿棒を使い症状のある皮膚を拭うことで、ウイルスの存在を確認します。
採血検査よりも確実で迅速に結果がでるため、皮膚拭い検査が性器ヘルペスを調べる場合の主流になっています。
性器ヘルペスが疑われる場合は、採血による抗体検査を採用することもあります。
皮膚に症状が出ていない無症状でも、性器ヘルペスの検査ができるのがメリットです。
ただし、発症から日が経っていない場合は、陰性となってしまうことがあります。
血液検査による発症の有無は難しいため、性感染症専門の医師がいるクリニックで行う方がいいでしょう。
性器ヘルペスは再発しやすいウイルス感染症です。
現代医学では完治させることが難しいものの、医師と協力することで再発予防は可能です。
初めて性器ヘルペスに感染した場合は、性行為を避けるのが一番の予防策です。
一度でも感染するとウイルスを保持していることになるので、セックスの際にはコンドームを使用するのが必須。
ただしウイルスは、性器だけでなく、肛門や太ももなどにもウイルスは存在します。
コンドームは絶対安全ではありませんが、感染予防としては有効な策だといえるでしょう。
PITとは、性器ヘルペスを年に3回以上再発している方を対象にした治療法になります。
前駆症状がみられた場合に、あらかじめ再発に備えて処方されている薬を患者詩人の判断で開始する方法。
忙しくて医師の診断を受けることが難しいという方に最適とされている治療法です。
再発抑制療法は、抗ウイルス薬を1日1回、1年間服用し続け再発を抑える方法です。
1年に6回以上再発を繰り返している方に採用される治療法になります。
メリットとしては、無症状のときに他人に感染させる心配が少ないというものです。
市販薬で性器ヘルペスを治療することはできません。
性器ヘルペスだけでなく、性感染症は性器に症状が出るところが共通しています。
素人では、どの感染症なのか判断が難しいため、自己診断は危険です。
海外サイトなどで抗ウイルス薬が手に入る場合はありますが、かなりのデメリットがあります。
医師の診断、指導のもとで正しい治療法を行えば、治りは早く抑え込むことも可能です。
性器ヘルペスの症状、検査方法を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
性器ヘルペスは再発しやすい感染症ですが、免疫力を高めるための規則正しい生活を送れば抑え込むことが可能です。
もっとも危険なのが、自己診断による放置や悪化です。
症状が現れたら専門医に診断してもらいましょう。
恥ずかしさは一時です。
福岡大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院で研修、東京慈恵会医科大学附属病院救急部所属。おうえケアとわクリニック院長。「男性の立場から医療と健康を考える」という視点でメンズクリニックを開業。