淋病にかかった、疑われる男性の症状や原因、治療法と再発させないための方法を医師が解説します。
性病のなかでもよく聞く淋病。恐い病気ではありますが、医師の診察と正しい治療を受ければ治るものです。
市販薬では治らないので、医師の診断を受けるのが最優先です。
症状や治療法について専門医が解説します。
目次
淋病は、国内でクラミジアと並んで多い性感染症です。
原因は淋菌とういう細菌で、セックス、オーラルセックス、アナルセックスなどの性行為で感染します。
1度のセックスにより感染する確率は30~50%と高めです。
10代後半~30代に多く、男性の場合は尿道炎や精巣上体炎を起こし、放置すると不妊の原因になるとされています。
淋病に感染した場合、さまざまな症状が現れます。
その症状を部位別に分けて解説します。
淋病に感染すると発症する可能性が高くなるのが「淋菌性尿道炎」です。
▼淋病に感染した場合の尿道の症状
・排尿時に強い痛みを感じる
・尿道がヒリヒリ、ムズムズする
・尿道から膿がたくさんでる(白、黄色、緑色)
尿道炎はほかの原因でも起こるものです。
原因を特定するためにも、医師の診断を受けることをおすすめします。
淋病の感染は咽頭にも起こることがあります。
主な原因はオーラルセックスです。
▼淋病に感染した場合の咽頭の症状
・のどの痛みや違和感
・咳
・発熱
淋菌が咽頭に感染しても症状が出ることは少なめです。
風邪と同じような症状なので、自己診断しがちですが思い当たる原因がある場合は医師に相談しましょう。
淋菌が尿道での炎症にとどまらず精巣へ入り込むこともあります。
精巣に淋菌が入って起こるのが「精巣上体炎」です。
▼淋病に感染した場合の精巣に起こる症状
・睾丸の痛みや腫れを感じる
・睾丸がただれる
・微熱
微熱が長く続き、睾丸に異常を感じる場合は淋病を疑いましょう。
とくに1週間以内にセックスをした覚えがある場合は、淋病の感染確率が高めです。
淋病にかかっている状態で、性器や分泌物に触った直後、目をこすったり触ったりすることで起こるのが「淋菌性結膜炎」です。
▼淋病にかかった場合の結膜に起こる症状
・目の痛みやかゆみ
・充血
・黄色い目ヤニが大量につく
淋菌性結膜炎は、進行が早めです。
1週間以内にセックスをした場合にこの症状があれば、すぐに医師の診断を受けましょう。
淋菌が精巣上体炎を起こし、さらに「精のう炎」まで進行することがあります。
▼淋病に感染した場合の睾丸に起こる症状
・下腹部の痛み
・頻尿
・発熱
・精液に血液が混ざる
精のう炎は前立腺炎を併発する場合があります。
かなりの自覚症状があるはずなので、早めの医師の診断を受けましょう。
淋病はアナルセックスにより、直腸の粘膜に感染する場合があります。
▼淋病に感染した場合の肛門に起こる症状
・肛門のかゆみ
・肛門の不快感
・肛門性交痛
・下痢や血便
・膿粘血便(膿や粘液が混ざった便)
腹痛を起こすこともありますが、その一方で無症状の場合も多めです。
自覚症状がない場合は、知らずに感染させてしまう可能性があります。
淋菌が目に入ると、感染から1~2日後に症状がでます。
▼淋病に感染した場合の目に出る症状
・白目の部分が真っ赤に充血
・まぶたが腫れる
・クリーム状の目やにが出る
結膜だけでなく、角膜にも感染していきその数を増やしていくのが淋菌。
角膜に潰瘍ができると、失明の危険があります。
国内2大性感染症ともいわれる淋病とクラミジア。
似ているところが多いうえ、両方に感染していることも珍しくありません。
ただとくに男性は、淋病とクラミジアで症状の違いがでます。
淋病 | クラミジア | |
症状 | 排尿時の痛みが強い | 排尿時に軽い痛み |
尿道からの分泌物 | 白、黄、緑色で量が多い | 透明、湿る程度で少ない |
潜伏期間 | 2~7日 | 1~3週間 |
治療方法 | 抗生剤の点滴、注射 | 抗生剤の服用 |
淋病はすべてにおいてクラミジアよりも症状が重く、潜伏期間も短めです。
淋病は淋菌の感染によって起こる性感染症です。
弱い菌である淋菌は粘膜でしか生きられません。
乾燥や消毒で死滅してしまう淋菌の感染原因はほぼセックスによるものです。
粘膜同士の接触や淋病の人の分泌物の付着によって感染します。
弱い菌であるため、風呂やプールでの感染はほぼありません。
ただし粘膜では繁殖しやすく、目を触れば結膜炎、アナルセックスによる肛門からの感染は多くなります。
咽頭に淋菌が存在している場合は、ディープキスで感染する可能性もあります。
淋病の潜伏期間は約2日~9日です。
その後に初期症状がでますが、人により軽い症状しか出ない場合があります。
また、症状が一時的に和らぐケースも珍しくありません。
ただし、淋菌が自然に体内から出ていくような自然治癒はないため注意が必要です。
淋病の検査のタイミングとしては、排尿時の痛みや違和感、頻尿、尿道から膿が出るといった症状が出た時でしょう。
性感染症のなかでも、ハッキリとした症状が出ないことがある淋病は気づかずに悪化させてしまう場合もあります。
不特定多数の人とセックスをするような人は、心配であれば淋菌が検出しやすくなる2~3日後に検査をするといいでしょう。
淋病は放置するとほかの病を引き出すリスクが高まります。
尿道炎や精巣上体炎の危険度が高く、放置していると前立腺の炎症や精巣の破壊による男性不妊症などに発展することがあります。
ハッキリと症状が出ない場合もあるので、おかしいと感じたら医師の診断を受けましょう。
淋病の検査のメインは尿検査です。
症状が現れている人は迅速検査、自覚症状がない場合は精密検査を行います。
どちらの検査も出始めの初尿を使うのが通例です。
咽頭に淋菌が付着している疑いがある場合は、うがい検査を行うこともあります。
淋病の治療は抗菌薬によって行います。
膿など視診でわかる場合は、尿検査の結果が出る前に治療を始めることもあります。
抗菌薬は内服、点滴、筋肉注射の3種類。
内服だけということはなく尿道炎、淋菌性精巣上体炎など、症状に合わせて点滴や筋肉注射を使用します。
以前は淋病の治療薬はペニシリン系抗菌薬が使用されていましたが、淋菌の耐性化から現在は使われていません。
今主流となっているのは、セフェム系の抗生物質セフトルアキソンやセフォジムとアミノグリコシド系のスペクチノマイシンが点滴、注射で使用されています。
内服薬としては、マクロライド系のアジスロマイシン、ジスロマックなどが挙げられます。
淋病は人により自覚症状がでなかったり、クラミジアと区別がつかなかったりと診断は専門医でないと難しいところがあります。
そのため大事になるのは、自己診断をしないことです。
自然治癒は期待できませんから、医師の診断を受けましょう。
市販薬で淋病を治療することはできません。
当然ながら自己診断はリスクが高まるだけです。
医師は症状とともに患者の全身の状態や既往症、服用薬などを診ながら治療方針を立ててくれます。
独断で薬を買ったり、症状が消えたから放置をしたりするようなことはやめましょう。
淋病の疑いがある場合は、パートナーも一緒に検査、治療を受けることが大切です。
淋菌は仲間を増やすために人の粘膜で増殖していきます。
自分だけでの治療では完治したとしても、再感染の可能性が高くなります。
必ずパートナーと一緒に治療するようにしましょう。
淋病は自然治癒や治療を1度受ければ治るというものではありません。
治療が必要な疾患だからこそ、パートナーとの協力が必要なのです。
淋病の症状や原因、治療法などを解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
性感染症のなかでもとくに多い淋病。
放置していると、重症化して尿道炎や前立腺炎、不妊まで進行してしまう病。
ただし、治療法が確立している感染症であるため、医師のもとへ行けば治すことは可能です。
性感染症というと恥ずかしい思いが先に立ってしまいますが、重症化する方がよほど恐いということを覚えておきましょう。
淋病に悩んでいる男性は、まずは信頼できる医師のカウンセリングを受けてみましょう。
メンズクリニックディラン(Dylan)では、性病の検査・治療を行っております。
お客様の問い合わせも多く、満足度が高いクリニックです。まずは検査を受診してみてくださいね。
福岡大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院で研修、東京慈恵会医科大学附属病院救急部所属。おうえケアとわクリニック院長。「男性の立場から医療と健康を考える」という視点でメンズクリニックを開業。