EDは、男性に自信を失わせるひとつの理由にも挙げられる症状です。
老化のための不能だけではなく、さまざまなタイプ、原因があります。
今回はEDの症状と治療法を紹介。ED治療で自信を取り戻しましょう。
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EDとは「Erectile Dysfunction」の略称です。
日本語では、勃起不全、勃起障害と訳されています。
以前は「インポ」と呼ばれていましたが、もとになった「インポテンス(英:impotence)」「インポテンツ(独:impotenz)」が「能力が低い」「役立たず」など侮辱的な言葉として使われるようになり、医学用語としてふさわしくないとして、現在はEDと呼ぶようになっています。
EDは性機能障害のひとつの症状。
「満足な性行為を行うのに勃起しない、または維持、持続ができず再発する」がEDの定義です。
勃起しないだけでなく、不十分な勃起や精神的な状態も症状の中に含まれます。
EDの症状には以下のようなものがあります。
これは代表的なもので、EDにはほかにもあり、軽度から重度まで幅もみられます。
以前は治療が難しいとされていましたが、現在ではほとんどのEDが改善可能。
症状が軽いうちに治療を受ければ治る可能性が高いので、専門クリニックを探して相談してみましょう。
EDは年配の男性の症状と思われがちですが、若年層も無縁ではありません。
年代別に分けて調査した結果が以下のものです。
年代 | EDではない | 軽度ED | 軽度~中度ED | 中等度ED | 重度ED | 完全ED |
20代 | 72.9% | 12.6% | 7.5% | 2.8% | 2.0% | 2.1% |
30代 | 72.9% | 10.1% | 6.4% | 4.1% | 2.1% | 3.4% |
40代 | 66.3% | 16.6% | 9.2% | 6.4% | 2.7% | 2.9% |
50代 | 55.9% | 13.9% | 12.3% | 8.3% | 5.5% | 4.2% |
60代 | 45.0% | 14.7% | 11.7% | 11.4% | 8.9% | 8.4% |
70代 | 29.5% | 11.9% | 11.0% | 14.5% | 11.1% | 22.0% |
合計 | 56.9% | 12.8% | 9.8% | 8.0% | 5.4% | 7.1% |
中等度から完全EDまでを合わせると、全年齢で20.5%。
20代で6.9%、30代9.6%とEDは年齢に関係ない症状だということがわかるでしょう。
EDのセルフチェックとしては、IIEF(国際勃起機能スコア)と呼ばれる質問が一般的に使われています。
簡単な5つの設問なので、自己診断してみましょう。
0点 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | 5点 | |
勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか? | 非常に低い | 低い | 中くらい | 高い | 非常に高い | |
性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な 硬さになりましたか? | 性的刺激は 無かった | ほとんど、又は全くならなかった | たまになった (半分よりかなり低い頻度) | 時々なった (ほぼ半分の頻度) | しばしばなった (半分よりかなり 高い頻度) | ほぼいつも、又はいつもなった |
性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか? | 性交を試み なかった | ほとんど、又は全く維持できなかった | たまに維持できた (半分よりかなり低い頻度) | 時々維持できた (ほぼ半分の頻度) | しばしば維持できた (半分よりかなり 高い頻度) | ほぼいつも、又はいつも維持できた |
性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか? | 性交を試み なかった | 極めて困難だった | とても困難だった | 困難だった | やや困難だった | 困難でなかった |
性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか? | 性交を試み なかった | ほとんど、又は全く満足できなかった | たまに満足できた (半分よりかなり低い頻度) | 時々満足できた (ほぼ半分の頻度) | しばしば満足できた (半分よりかなり高い頻度) | ほぼいつも、又はいつも満足できた |
合計点数によってEDかどうか、軽度から重度の判断が簡易的にできます。
判定不可 | 1~4点 |
重度ED | 5~7点 |
中等度ED | 8~11点 |
軽度~中等度ED | 12~16点 |
軽度ED | 17~21点 |
EDではない | 22~25点 |
17~21点だった場合は、軽度のEDの可能性があります。
軽度のEDの場合は、勃起をすることもできて硬さや維持力にも問題がないため見逃されがちです。
ただたまに硬さが不十分、維持力に欠ける状態が起こる場合は軽度のEDが疑われます。
8~11点だった場合は、中等度のEDの可能性があります。
中等度のEDは、勃起する状態や性交の間は勃起を維持できる状態です。
ただ、軽度のEDと較べると勃起できる回数が減り、維持力も弱まります。
5点~7点の場合は、重度のEDの可能性があります。
完全EDとも呼ばれる重度のEDは、十分に勃起することができません。
勃起する状態を維持することが難しいため、性交不可能な状態になります。
EDは大きく4つのタイプにわかれます。
それぞれのEDのタイプ、症状を解説していきましょう。
心因性EDは、疲労やストレスが原因で脳内の情報を伝達する物質が減少して、性的な刺激や興奮が上手く伝えられなくなるのが原因です。
30代~40代のいわゆる働き盛りといわれる世代に多く見られます。
ストレスや精神的なダメージは個人差があるため、原因はひとつになかなか絞れません。
仕事や人間関係、妊活による夫婦関係、両親からの「孫が見たい」というプレッシャーなどが、主な心因性EDの原因です。
原因がはっきりわかれば治療はしやすいのですが、深層心理が原因となっている場合は解決が難しい場合があります。
うつ病や心的外傷ストレス障害(PTSD)も、心因性EDの原因になります。
器質性EDは、神経と血管の障害によって起こります。
生活習慣病などで動脈硬化となり、血管の収縮に欠陥が生まれ血流が悪化することから十分な勃起が得られません。
神経が損傷した場合も同様で、性的興奮が陰茎に伝わらずEDとなります。
50代~60代にかけて増えますが、年齢のせいばかりではありません。
動脈硬化を起こす生活習慣病の糖尿病や心臓病、高血圧、高脂血症は、50代以上に多い症状でこれらがEDの原因の場合が多めです。
脳腫瘍や脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病など自律神経の障害もEDにつながります。
薬剤性EDは、服用している薬の副作用により起こるものです。
降圧剤や前立腺肥大症、非ステロイド性抗炎症剤を服用している方にEDの症状が現れる場合があります。
またうつ病やパニック障害などに使われる薬品には、興奮や緊張を抑える働きがあるため、性的欲求や勃起に影響が出てしまうことがあります。
混合性EDは、心因性と器質性が重なって起こるものです。
EDの原因の中でもっとも多いのが、この混合性ED。
40代以上は動脈硬化や高血圧になりやすい年齢であり、また仕事でのストレスが増していくのがこの世代。
一度でもEDを経験してしまうと、心因性のEDが強まる可能性も高めです。
また投薬による治療を行っている場合は、原因がそこにある場合も珍しくありません。
すべての原因を改善させなければ、混合性EDの症状は消えないため、しっかりとした治療が必要になります。
EDは治らない…というのは過去の話です。現在では、代表的なものとして5つの治療方法があります。
EDの治療の大半な内服薬です。
国内で承認されているのは「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類。
これらの薬は陰茎の血流を良くして、勃起しやすくする作用をもっています。
治療薬によって性行為の直前に服用、効果が現れるまで数時間かかるといった特徴があります。
個人差もあるので、タイミングに関しては医師とのカウンセリングの中で探っていくといいでしょう。
また、EDの薬で勘違いされやすいのが、自分の意思や環境に関係なく勃起してしまうのではないかということです。
ただ、あくまでも性的な興奮や刺激があるときにしか反応しません。
どんな薬でも起こり得ることですが、ED治療薬にも副作用があるので、不安がある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
▼薬のそれぞれの詳細はこちら
EDの治療薬が現在服用している薬のために飲めない、また効果が不十分な方に使用されるのが、陰圧式勃起補助具です。
円形の筒(シリンダー)の中に陰茎(ペニス)が入った状態で、付属のポンプを用いてシリンダー内に陰圧をかけて真空状態を作ります。
この状態にすることで、陰茎海綿体に血液が送り込まれて勃起状態を強制的にうながすのが、陰圧式勃起補助具です。
また、低酸素状態の改善により勃起機能の復活、陰茎の若返り効果も期待できるので、EDでなくても使用をおすすめできます。
国内で購入できるのは、厚生労働省から認可を受けている「Vigor(ビガー)2020」のみです。
治療薬、陰圧式勃起補助具で効果がない人に使用されるのが陰茎注射です。
陰茎の上部、左右にある陰茎海綿体に血管拡張薬を注射してED治療を行います。
副作用の少ないプロスタグランジンE1による治療を始めて行ったのは、東邦大学の石井教授です。
ただ行ったのは日本人でありながら、世界で日本だけが認可されていません。
そのため、医師と患者の自己責任で行うことになります。
衝撃波治療は、EDの最新の治療法です。
加齢や病気のため血液の流れが悪くなった海綿体の血管に、低強度の衝撃波を照射。
毛細血管を増やし、血管の若返りを則すことで血管機能を高め、ED治療に効果を発揮しています。
陰茎プロステーシス移植手術は、ほかの治療で効果がない場合に行うED治療の最終手段になります。
成城の勃起の際に血液が充満する陰茎海綿体内に、陰茎プロステーシスを移植していく手術です。
陰茎プロステーシスには、棒状で曲げ伸ばし式のノンインフレータブルタイプと水の移動によるポンプ式のインフレータブルタイプがあり、国内では3種類の機種が承認を受けています。
すでに30万人以上の男性に移植され、90%以上が満足している実績を背景にした手術です。
ED治療は医師に頼るだけでなく、普段の生活の中でも気をつけることで改善の可能性が高くなります。
では、どんなところに気をつければいいのでしょうか。
具体的な例を挙げて紹介します。
ED改善でもっとも重要で基礎となるのが食生活の改善です。
高カロリー、高脂肪そして糖質の摂り過ぎに注意しましょう。
動脈硬化や生活習慣病を予防する意味でも、塩分の取り過ぎも良くありません。
必要な栄養素としては、EPA、DHAなどが有名ですが、それだけでなくなにより大事なのがバランスの良い食事です。
足りていないと思える栄養分があるのなら、サプリメントなどで補充しましょう。
EDに限らず、どんな病気であっても原因のひとつに挙げられるのがストレスです。
交感神経と副交感神経のバランスの崩れが原因となるのが心因性ED。
勃起しているときは副交感神経が優位になるのですが、ストレスがかかると緊張してしまい勃起しにくい状態を作ってしまいます。
ストレス解消は人それぞれ違うもの。
自身のリラックス法を確立してストレス解消しましょう。
睡眠不足もストレス同様、自律神経のバランスを崩す原因です。
できる範囲で起床、食事、就寝時間を決めて、規則正しい生活を送りましょう。
起床時には太陽の光を浴びるのも効果的。
快適に睡眠を取るために、寝具を変えるなどの工夫もおすすめです。
EDの改善には、適度に体を動かすのは有効です。
とくに有酸素運動は血液循環を促進し、体脂肪や糖質を分解してくれます。
EDの原因になり得る生活習慣病の予防にもなりますし、ストレス発散にもつながるでしょう。
おすすめなのはジョギングにランニング、サイクリング、水泳や登山が効果的とされています。
喫煙や飲酒を就寝前の習慣にしている人は、やめた方がいいでしょう。
適度なアルコール摂取は緊張感をやわらげてくれますが、大量に摂取すると体内の水分が奪われ血行が悪くなり勃起しにくくなります。
喫煙は、さまざまな病気の原因になっています。
有酸素運動が効果的なことでもわかるように、喫煙によりニコチンを体内に入れるのは逆効果。
ED傾向にある人は、禁煙をおすすめします。
EDの症状の説明、治療法を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
20代でもEDの方がいるように、勃起と年齢は別物です。
軽度だからと放っておけば、どんどん進行してしまうでしょう。
現在ではしっかりとした治療法があり、専門のクリニックもあります。
早めの治療をすればそれだけ治癒の可能性があるので、恥ずかしいとは思わず診断を受けましょう。
まずは信頼できる医師のカウンセリングを受けてみましょう。
メンズクリニックディラン(Dylan)では、EDの検査・治療を行っております。
お客様の問い合わせも多く、満足度が高いクリニックです。まずは検査を受診してみてくださいね。
福岡大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院で研修、東京慈恵会医科大学附属病院救急部所属。おうえケアとわクリニック院長。「男性の立場から医療と健康を考える」という視点でメンズクリニックを開業。