結論からいうと、肥満外来は保険適用でダイエットできます。
しかし、条件を満たしていないと保険は適用されません。
この記事では肥満外来が保険適用になる範囲や条件、費用相場などについて解説します。
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肥満外来では、医師や管理栄養士などの専門家のサポートを受けながら、自分の肥満タイプや肥満度に適した治療を受けられます。
保険適用の有無は治療を受ける方の状態により異なるため、保険適用と自由診療になる条件についてそれぞれ解説します。
肥満外来で保険適用になりやすい方の条件は以下の4つです。
保険適用の範囲は病院により異なる可能性があるため、確認しておきましょう。
BMIが25以上の男性の割合は全体の31.8%です。男性の3~4人に1人は肥満の可能性があります
BMIは以下の計算式で計算できますよ。
気軽にチェックしたい方は「BMIチェックツール」を活用しましょう。
自由診療になる条件は、以下の通りです。
保険が適用されないため、治療にかかる費用は全額自己負担です。
病院により料金が異なる可能性があるため、確認しておきましょう。
肥満外来では以下の3つに保険が適用されます。
保険適用範囲と費用目安についてそれぞれ紹介します。
プログラム指導料とは、食事指導や運動指導、初診料、再診料など、一人ひとりに適したプログラム指導にかかる費用です。
プログラム指導料は病院により異なります。
保険適用される薬は、食欲抑制剤のサノレックスのみです。
なぜなら、サノレックスは日本で唯一厚生労働省から認可されている食欲抑制剤だからです。
BMI35以上の高度肥満の方へ処方する場合に、保険が適用されます。
サノレックスを服用することで、食事量の少なくしたり代謝を浴したりする効果が期待できます。
ダイエット薬以外ですと、漢方治療が保険適用になる可能性があります。
保険適用になる主な漢方薬は、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、大柴胡湯(だいさいことう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。
漢方の種類により期待できる効果やおすすめの人が異なるため、一人ひとりの体質に適した漢方を服用する必要があります。
保険適用ではありませんが、以下のダイエット薬が処方される場合もあります。
保険適用外の薬の特徴や費用相場、おすすめの人などについても、それぞれを紹介します。
リベルサス(セマグルチド)は、錠剤として口から摂取する世界初のGLP1受容体作動薬(抗肥満薬)です。
GLP1は、体内に元々存在しているホルモン(別名:幸せホルモン)で、体内に補充することで食事量を減少させる効果が期待できます。
また、基礎代謝の向上による脂肪燃焼効果も期待できるため、太りにくい体質を目指すことも可能です。
1日1回1錠を空腹時に服用する必要があり、効果が出現するまでに3ヶ月~4ヶ月程度かかります。
サクセンダ(ビクトーザ、リラグルチド)は、注射タイプのGLP1受容体作動薬(抗肥満薬)です。
日本では認可されていませんが、FDA(アメリカ食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)、KFDA(韓国食品医薬品安全庁)等などの海外機関では認可されているため、安全性を重視したい人におすすめです。
注射をする部位は、お腹や太もも、二の腕などです。1日1回(朝食前)の注射を自分自身で行いやすくするために、痛みを感じにくい極細の注射針が使用されています。
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、2014年に日本で認可されたSGLT2阻害剤です。
SGLT2阻害剤とは腎臓の尿細管から血管まで糖を運ぶSGLT2の働きを阻害する薬。
排尿時に吸収されなかった糖を排出するように働きかけるため、糖尿病治療だけでなくダイエット治療にも有効です。
1日1回1錠を服用することで、余分な糖の吸収しにくくすることが可能。
一方で、尿内に含まれる糖が増えることで、尿の通り道や陰部などに微生物が繁殖しやすくなります。
性器感染や尿路感染などのリスクが高まりやすいため、医師と相談しながら服用を決めましょう。
ルセフィ(ルセオグリフロジン)は、2型の糖尿病治療で用いられることが多いSGLT2阻害剤です。
2型の糖尿病は「遺伝的な要因+生活習慣の乱れ」により発症しやすく、全体の9割以上を占めています。
2型の糖尿病の人や生活習慣病と肥満を合併している人などにおすすめの薬です。
飲み方や効果は概ねフォシーガと同じで、食事療法と併用することでより効果が期待できます。
糖の摂取を極端に控えると、身体に必要な糖まで排出するようになるため、低血糖が起こりやすくなります。
健康的にダイエットを行うためにも、炭水化物や糖を適度に摂取しながら服用しましょう。
メトグルコ(メトホルミン)は、古くから使用されているビグアナイド系の糖尿病治療薬です。
ビグアナイド系とは血糖値をコントロールするために小腸、肝臓、筋肉へ作用する薬のこと。
「小腸」は糖の吸収を抑制し、食欲を抑える機能、「肝臓」はアミノ酸を糖へ変える作用を抑え、空腹時の血糖値を下げる機能、「筋肉」は糖の代謝を促し、血糖値をさげる(インスリンの働き)機能を持っています。
血糖値が高いと糖を脂肪へ変換しやすくなりますが、メトグルコ(メトホルミン)を1日2回から3回服用することで脂肪が付きにくい体を目指せます。
そのため、2型糖尿病の人や脂肪肝の人、肥満の人におすすめです。
ゼニカル(オルリスタット)は、膵リパーゼ阻害薬(脂肪吸収抑制剤)です。
膵リパーゼ阻害薬(脂肪吸収抑制剤)とは膵(すい)臓で作られ、脂質を分解する作用を持つリパーゼという物質の働きを抑制する薬です。
脂質を便と一緒に排出するように促す効果と脂肪の吸収を抑制する効果が期待できるため、脂質の取り過ぎが原因の肥満の人におすすめです。
1日1回1カプセルを2週間から3週間程度服用することで、効果を実感しやすくなります。
脂質よりも糖質をよく口にする人、服薬治療で身体についた脂肪を落としたい人は、その他の薬や治療方法を検討しましょう。
肥満外来では、以下のような外科的施術は保険適用外です。
特徴や費用相場などについて、それぞれ解説します。
脂肪溶解注射とは、脂肪細胞を破壊する効果が期待できる薬剤を皮下脂肪へ注入する施術方法です。
破壊された脂肪細胞は老廃物として、尿や汗などと一緒に排出されます。
注入する薬剤の種類や注入量などを、自分の状態や好みに合わせて調節できます。
脂肪が落ちにくい部位へピンポイントに施術を受けたい方におすすめです。
脂肪吸引とは、顔やお腹、太もも、二の腕などの余分な皮下脂肪をカニューレで吸引・除去する手術方法です。
カニューレを挿入するために皮膚を数cm程度切開する必要があります。
脂肪細胞を取り除くため脂肪を蓄えにくくなったり、リバウンドが起こりにくくなったりします。
短い期間でも確実な効果が期待できる施術を受けたい方におすすめです。
クールスカルプディングは、低温に弱いという性質を持つ脂肪細胞だけを冷却して破壊する施術方法です。
皮膚を切開する必要がないため、切らない施術や傷が残りにくい施術を検討している方におすすめです。
施術部位の脂肪細胞を破壊して減少させる効果が期待できるため、リバウンドが起こりにくくなります。
厚生労働省の認可を受けている医療機器のため、医学的根拠のある施術を受けたい方にもおすすめですよ。
肥満外来で保険を適用させるには、医師の診察を受ける必要があります。
安心して診察を受けていただくために、診察の流れについて解説します。
まずは病院を予約しましょう。
肥満治療を受けられる肥満外来やダイエット外来は、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病治療を受けられる内科に併設されている場合があります。
予約を行う場合は、肥満外来の受診を希望する旨も伝えるようにしてください。
診察では、まず生活習慣や食生活に関する問診を受けます。
治療中の病気や服用している薬、受診した経緯なども医師へ伝えましょう。
身長や体重、体脂肪などの体組成測定や血液や尿、内臓脂肪の検査などのメディカルチェックを受けます。
問診と検査の結果、肥満の原因、合併症の有無などを元に、一人ひとりに適した治療方法が決定されます。
肥満治療は通院で受ける場合が多いため、基本的に入院は不要です。
治療内容は生活習慣の改善と薬物治療が中心です。
薬を服用するだけでなく、肥満の要因になりやすい生活習慣や食生活、運動習慣を正していく必要があります。
初診にかかる時間目安は2時間程度で、費用目安は初診料と薬代を含めて2,000円~10,000円程度です。
1ヶ月に1回から2回程度の頻度で再診を受けます。肥満治療の通院期間目安は半年から1年程です。
再診料は1,000円程度で、指導料や薬代などが、通院する度にかかります。
保険適用の有無や治療内容、診察を受ける時間などで治療にかかる総額費用は異なります。
自分が保険適用になるかどう知りたい方は、お近くの肥満外来で確認してみてはいかがでしょうか。
肥満外来が保険適用になるかどうかは、医師の判断によります。
また、問診や検査結果などを元に判断されるため、保険適用の有無については自己判断できません。
肥満による生活習慣病を発症している可能性もあるため、この機会に医師の診察を受けることをおすすめします。
福岡大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院で研修、東京慈恵会医科大学附属病院救急部所属。おうえケアとわクリニック院長。「男性の立場から医療と健康を考える」という視点でメンズクリニックを開業。